輪島市行政視察
輪島市は能登半島の北西部に位置し、人口27,322人、426.29k㎡の行政区域の大部分が山林であり、コンパクトな市街地に人口の約半数が集中しています。輪島市の行政視察の項目は「周遊できるまちづくり〜本町・朝市通り整備〜」に関する事業です。輪島市は観光関連の産業が盛んな市で、平成3年当時は観光入込み数250万人を超えたのをピークに年々減少し、平成13年の鉄道廃線、平成19年の能登半島地震などの影響により、100万人を下回る観光入込み数となりました。しかし、その後、地域の住民の有志と行政が連携し、周遊できるまちづくりを目指した町並み整備事業を実施し、旧鉄道駅舎を建て替えふらりと訪れ小さな夢を見つけて頂く意味を込めて「ふらっと訪夢」と命名や輪島市出身の漫画家永井豪さんの描いた作品をデザイン化したコミュニティバスを走行させなどを実施しています。また、都市ルネッサンス事業として、輪島まちづくり協定に基づき、輪島らしさを意識した通りの整備や輪島市の伝統産業の輪島塗職人の多くが居住する上町通り地区では、職住一体の塗り師の家のたたずまいを残すために街なみ環境整備事業を実施するなどのまち歩きを促す整備事業を実施し、今では年間の観光入れ込み数は約100万人、平成29年は120万人を超える観光客が訪れています。中でも日本三大朝市の一つに数えられる輪島市の朝市は観光事業の目玉となっています。朝市は平安時代、お宮の境内の物々交換からはじまり1200年の歴史があります。特徴は200から250の店舗が年間340日開催しています。出展者の多くが女性で、能登の女性は大変働き者で、亭主が楽をしているという意味で「能登のとと楽」と言われているそうです。朝市が開催されている本町・朝市通りは商店街が立ち並び、商店街組合と朝市組合の二つの団体が利用している通りのため、整備の際には、商店街と朝市出展者と行政が協力し、整備コンセプト、今後の本町・朝市の方向性や路地の活用、工事方法の調整を行うため、ワーキング会議を実施し、電線の地中化、自然石の石畳、露店のテントを止めるフックの道路設置等々の整備を実施しました。自然石舗装は通行車両により石組みのがたつき対策と毎日工事後に朝市が開催されるので夜間工事でアスファルト舗装と自然石の間にアスファルト系注入材を使用することにより、工事時間の短縮やがたつきが防止されたそうです。朝市を訪れる買い物客の9割が観光客で、近年では外国人観光客が増加しているため、外国人観光客が買い物を楽しめるように、会話シートを作成し指差しで買い物が楽しめるようなく工夫をしているそうです。歴史的町並みを活かした環境整備を実施する上で一番重要な点は、地権者、居住者、そして行政の親密な連携であると再認識いたしました。